散歩をしていると、商店で店番をしている男性が声を掛けてきた。 「ハロー!何処行くんだ?」
「その辺を歩いているだけだよ」
「そうなのか。まぁこっち来なよ」
これに座りなと言い、店番の男性は椅子を差し出してきた。
「俺の名前はジョーネン。この町のカリスマだ。よろしく」
ニヤリと口角を上げながら、ジョーネンは言う。
その表情は凄まじいドヤ顔である。
自らを「この町のカリスマ」と言い切ってしまうあたり、ベジータ様と同じく、かなりの自信家のようだ。
ジョーネンが訊ねてきた。
「大悟。日本人だ。そして俺も日本が誇るカリスマだ」
「そうなのか!君もカリスマなのか!奇遇だなぁ」
「あぁ、まさかこんな場所でカリスマに出会えるとは思ってもなかったよ」
「大悟は日本ではどんなことをしてカリスマと呼ばれてるんだ?」
「あぁ、日本にはHIKIKOMOLIという職業があるんだ」
「HIKIKOMOLI?」
「あぁ、俺はそのHIKIKOMOLI業界の期待の若手なんだぜ」
「へぇ〜。大悟は凄い人なんだな」
「まぁね。周囲は俺のことを『Mr.HIKIKOMOLI』と呼んでいる」
「大悟は凡人の雰囲気しか漂ってないけど、人は見かけによらないんだなぁ」
Σ(; ・`д・´lll)ギクッ!
「ま、まぁね……」
ふっ。ジョーネン。君の思った通り、俺はカリスマなんかじゃない。
日本では普段から周囲に罵倒され続けている、ゲームや漫画が大好きな、ただの超インドア派の人間だ(号泣) 俺が唯一、腹を割って話せる相手は人面魚のシーマンぐらいである。
しばらくの間、商店の周りにいる人たちと会話をしているとジョーネンが言った。
「大悟、今から何処かに散歩しにいこうぜ」
「あぁ、別に構わないけど。店番はいいの?」
「いいって、いいって。他の誰かに任せる」
随分いい加減だなオイッ。
そんなわけで、ジョーネンを含めた複数の男性と適当に散歩することになった。
ヒレの中心部から離れた場所には、至る所に日本の野イチゴにそっくりなオレンジ色の果物が実っている植物が生えている。 ジョーネンたちがそれを手に取り、食べてみなと自分に差し出す。
口に運ぶと、甘い果汁が口中に広がった。
「甘いね〜」
「日本にもこんな果物はあるのか?」 ジョーネンが俺に訊ねる。
「味も形もそっくりな果物があるよ。日本のは赤い」
「赤いのか?見てみたいな。今度日本から持ってきてくれよ」
「うーん、そりゃ難しいね」
ヒレに持ってくる前に、腐ってしまうがな……。
ジョーネンはとても陽気で気さくな男で、一緒に行動すると気分がよかった。
「俺はスーパージョーネンだ」 とかキメ顔で言ってそうだ。
「宣伝してどうすんのさ?」
「俺は将来、有名になっていずれ映画に出演するのが夢なんだ」
映画に出られるのであれば、何処の国の映画でも構わないとジョーネンは言う。
「だから大悟。さっき撮った俺の写真を日本のメディアにばら撒いてくれよな」
えー、面倒くせー
「はぁ、俺がいくら発信したってなんも変わらないと思うけど。まぁ一応やってみるよ」(気が向いたら)
「俺が映画出演したら最初にサインを書いてあげる日本人は大悟にするぜ!」
「期待して待っとくよ」
ジョーネン!約束は果たしたぞ!
ヒレの町が誇るカリスマ、ジョーネン
ヒレの町が誇るカリスマ、ジョーネン
ヒレの町が誇るカリスマ、ジョーネン
「大悟ー、トゥンバ飲みに行こうぜ!」
ある日、ジャックスがそう言ってきた。
どーでもいいが
トゥンバとはネパールの濁酒である。 蓋つきの円筒形の容器に粒状のチャンが入っており、それにお湯を注ぎしばし待ち、アルコール分が溶け出したらストローで頂く。
トゥンバはヒレの名産酒であり、ヒレのトゥンバはネパールいち美味しいと言われている。 そんなこともあってか、ヒレのバスパークの近くには巨大なトゥンバのモニュメントがどどーんと建てられている。
「いいけど、宿でもトゥンバ飲めるじゃん?」
現在泊まってるマヌホテルの食堂でもトゥンバを飲むことはできる。 自分がそう言うと、ジャックスはこう返してきた。
「俺はあそこの食堂で飲みたいんだ!だってあそこの食堂の女の子が可愛いから!」
そーいうことかい!
まぁそりゃ、頼むものの金額が同じなら可愛い看板娘がいる店の方で飲み食いした方が楽しいわな。
そういうわけで、ジャックス希望たっての食堂に足を運んだ。
「いらっしゃい」
そう言って出迎えてくれたのは、清楚でおしとやかな可愛らしい娘………ではなく、初老の女性だった。
ふーむ、ジャックスって意外にも熟女好きだったのか………。
「ジャックス、可愛い娘って、あの人のこと?」
椅子に腰掛けながらジャックスに小声で聞いてみた。
「違うよ。今日はいないのかな?」
そんなことを言いながら、辺りを見回すジャックス。 どうやら違うようだ。
「トゥンバとチョウメン2つ」(チョウメン チベット風の焼きそば)
溜息を吐きながらジャックスが注文をする。
注文をしてしばらくすると、チョウメンとトゥンバが運ばれてきた。 アルコールが溶けだした頃を見計らい、アルミで造られたストローでトゥンバを吸い込む。
あー美味い。冷え込む夜に飲むトゥンバはいいねぇ。
トゥンバをじゅるるるるると吸っていると、少年5人組みが食堂にやって来た。 その中の1人が英語で話しかけてきた。 「ハロー。もしかして日本人?」
「そうだよ。君は学生かい?」
「そうだよ。14歳」
話を聞くと、この英語少年は、将来どうしても日本に行きたいと言う。
「へぇー。どうして日本に行きたいの?」
「だって日本人女性めっちゃ可愛いじゃないか!僕は可愛い日本人女性と付き合いたいんだ!」
でもそんな理由の方が、なんか清々しいな。
そう言う少年からは強い意気込みを感じられる。
「はぁ……。でも日本語を話せないと日本人の恋人を作るのは難しいかもね」
「うん。だから何年後かにカトマンズの日本語学校に行って日本語を勉強するって決めてるんだ!」
おー、若いうちからしっかりとした志を持ってる少年だ。素晴らしい。
「そういえば日本人女性が可愛いって言ってたけど、日本人女性に会ったことあるの?」
「あるよ!1年くらい前に日本人女性がヒレにやってきたんだ!彼女は25歳で凄く可愛かったよ!」
「そうなんだ。話したの?」
「話したよ。いやー可愛かったなー。ファックしたかったー。ファックさせてくれって頼めばよかったなー」
ブ━━(;;;゚3゚;;;)━━ッ!!!
トゥンバ吹いた。
「君。もしまた日本人女性に会うことがあっても、いきなりそんなこと言ったら駄目だぞ」
「えーなんでさ?」
「なんでもだ。嫌われるぞ」
「分かった。じゃあじっくり話した後に「ファックさせてください」って言ってみるよ」
「んー、それも駄目」
「じゃあどうすればいいんだよ?」
俺が知るかボケッ!
「I love youって言って相手がMe tooって言えば、抱きしめて「ファックさせてください」って言えばいいんじゃね?」(適当棒読み)
「なるほど!次に日本人女性に会った時は実践してみるよ!」
……………………(`‐ω‐´)
日本に行ったとしても、この子多分セクハラで訴えられるな。
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