2016年4月30日

旅に出たきっかけ

 

 

 

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基本的に怠け者のオレは、働くことが苦手だ。

口癖は「楽して生きてー」である。

 

 

加えて、極度のインドア派だ。仕事以外では滅多に外出しない。

休日の過ごし方は、主にサーフィンである。うす暗い室内でインターネット上の波に乗っている。

 

 

そんなオレは、ある日仕事を辞めた。

 

経緯はこうだ。

 

「仕事だりー。働きたくねー。辞めてー。でも嫌だから辞めると言っても絶対なんか色々言われるわ。どうしよーかなー。……あ、そうだ。外国を旅するとか適当に言っておこうじゃさっそく退職届出してくるか」

 

そんなわけで退職した後、しばらく引きこもりライフを満喫しようと試みたわけだが、考えが甘かった。

 

外国を旅するという冗談を周りの人達が、真に受けてしまったのだ。

「頑張れよ!」と応援してくれる方まで出てくる状況である。

 

実際、オレは旅に出たいだなんて微塵の欠片も思っていない。

旅なんぞグーグルのストリートビュー閲覧するだけで十分だ。

 

だが、この状況で「旅するってのは、うっそぴょーん!」発言なんかしてしまえば『口先だけの引きこもり野郎』と呼ばれ続けるに違いない

 

……行くしかないか(泣)

 

 

というわけで、1ヶ月間だけタイとカンボジアを旅してみた。

そこを選んだわけは「バックパッカーとして最初に旅行するなら、東南アジアがおすすめです」と、なんかのブログで書いてあったからだ。

深い意味はない。

バンコク到着日、デモ隊と軍の衝突が激化している真っ最中というサプライズがあった泣きそうだった。

 

 

その数ヶ月後にインドを1ヶ月半ほど旅してみた。

そこを選んだわけは「インド面白いよ。インド行ってみるべきだよ」と、胡散臭いおじさんがそんな発言をしていたからだ。

深い意味はない。

しょっちゅう強烈な便意に襲われていた記憶しかない。泣いた。

 

 

 

「もう絶対外国行きたくない。というか行く意味が分からん」

オレは心からそう思った。

 

何はともあれ、どんな形だろうがインドア派のオレが異国の地をフラフラしてきたということが、よほど意外なことだったのだろう。周囲からはこのような声を掛けられていた。

 

「少し逞しくなって戻ってきたなぁ」


「どんな所だった?話聞かせてー」


「勇気あるなぁ、見直したよ!」

 

ふっ、悪い気はしない(悦)

 

 

そして、就職活動をしないまま1年経とうとしていた。

 

この頃になると、罵声を浴びせられることの方が圧倒的に多くなってきた

 

「あいつ未だにフリーターなのかよっ?ダサッ」


「いつも自宅に引きこもっていて気持ち悪い」


「一緒に遊んでも無茶苦茶つまらん」

 

……事実なので何も言い返すことができん(泣)

 

 

ちなみに、オレは非常に打たれ弱い。

理科の実験で使うプレパラートぐらい脆い。

ゆとり教育が生み出した『ゆとりの弊害、プレパラートハートの若者』の異名に偽りはない。

 

 

オレはある決心をした。

 

「そうだ、とりあえず旅に出よう!外国に行けば周囲からとやかく言われずに過ごせるじゃないか!長旅じゃ!長旅してやる!国外逃亡してやる!」

 

そんなわけで1年近くに及ぶ旅に出たわけだが、端から見れば、それは旅ではない。

ただの『現実逃避行』である。

 

これは、負け組人生まっしぐらな人間の旅(現実逃避)の記録である。

 

そして帰国後、旅先での出来事を振り返りつつ思う。

「俺はこれから先、一体何をすればいいんだろう」(泣)