2016年1月29日

03. ナムとの遭遇

 

チェンコンはメコン川を国境にラオスのフェイサイと接している。特に見所は無いが穏やかな時間が流れている町だ。

 

 

 

メコン川の対岸にはもうラオスが見える。

ボートに乗っていかなくても泳いでいけそうな距離だな……。

そんな気がなくても泳いでいたら対岸に漂着してしまい、うっかり不法入国してしまいそうだ。

 


対岸に見えるラオスのフェイサイの町

 

 

 

メコン川をぼへ~っ( ゚ ρ ゚ )と眺めていると、トゥクトゥクのドライバーの男性が日本語で声をかけてきた。

 

「コニチワー」

 

「あ、こんにちは」(・ω・)

 

とりあえず挨拶を返す。

 

「ドコからキマシタ?」

 

「チェンライからです」

 

「チェンライ、おおきいマチ~。チェンコンスゴイちいさい」

 

「日本語喋れるんですね」

 

「すこし。チェンコンちいさいマチ、あるのメコン川ダケ。ヒトくるのラオスいくヒト、ラオスみてタイもどるヒトダケ」

 

「はぁ、そうなんですか」

 

「ワタシにほんごシャベルすこし、パパイヤゲストハウスオーナーにほんじん、オシエテモラッタ」

 

「少しどころか、かなり喋れてますよ」

 

「オーナー、ワタシトモダチでんわスル」

 

へ?何がしたいんだ、このおじさん?

よく分からなかったが、そのオーナーという人に電話をかけて、俺に携帯を渡してきた。
とりあえず電話に出てみる。

 

「あー、もしもし?」

 

「もしもし、あのー、なんで電話かけてきたんでしょうね?」

 

日本人オーナーというのは女性の方だった。

話を聞くと、その日本人女性はチェンコン在住で、『パパイヤウィレッジ』というゲストハウスを経営しており、ドライバーのおじさんは友達らしい。気が向いたら宿に遊びに来てくださいとのことだ。

 

「オーナーおもしろいデスヨ」

 

トゥクトゥクのおじさんが言う。

 

いきなり電話かけさせるアンタの方がある意味面白いけどな。

 

「あ、そういやおじさんの名前何て言うの?」

 

「ワタシのなまえステープいいます」

 

「ステープさんね、俺の名前は大悟です。それでは」

 

「ハイまたネー」

 

そんな感じの会話を交わし、ステープおじさんと別れた。

 

 

 


道端で見つけた看板。某キャラクターはタイでも人気みたいである。

 

 

 

 

昼食後にメインストリートから外れた裏路地を歩いていると、タンクトップ姿のタイ人の青年が話しかけてきた。

 

「タワムナチィー、ナワニヌポコピョコ」(適当に書いてます)

 

……タイ語分からねー。
(ー`´ー)ウーン

 

「ジャワジュコティティコヒティ」

 

そう言いながら俺の首にぶら下げているカメラを指差す。

写真撮ってくれと言っているのかな?

そう思ってカメラを向けると、青年は両腕を前に掲げポーズを決める。
よく分からんがとりあえず写真を撮ってみた。

 

カメラのモニターで撮った写真を見せると、青年は凄く満足そうな表情を見せた。

すると、別の場所で写真を撮ろうとジェスチャーで示してきた。

 

※ここから先の会話は、この青年がこういうことを言っているんだろうなと推測したものです。

 

「他の所で写真を撮ろう!いい所があるんだ!」

 

「タイ語は分からないよー」

 

「何言ってるか分からないよ」

 

「んー、君の名前は?」

 

「?」

 

「ネーム!ネーム!」

 

「ネーム?ナム!俺はナム!」

 

「ナムね、俺は大悟」

 

「ダイゴ、あそこへ行こう」

 

 

 

img_3618
Mr.タンクトップ「ナム」

 

 

 

ナムに案内された場所はメコン川に浮いている船上レストランだった。

 

「ダイゴ、ビール」

 

「何?ビール?いや、特に今飲む気は無いけど」

 

「ダイゴ、ビール」

 

「いや、だから今飲む気は無い……、ナム、お前がビール飲みたいのか?」

 

「YES」

 

「なんでそこだけ英語で応えるんだよ!?」

 

……まぁ、別にいいけどさ。

 

「店員さんビールください」

 

タイのビール、ビアチャンを注文して、乾杯。

 

ちなみに、ナムはコップ2杯のビールでぐでんぐでんに酔っ払っていた。
何か話し掛けてくるが、既に呂律が回っていない。

 

 

そんなに弱いなら酒飲むなや!
Σ(・д・)

 

 

ビールを飲み終えると、酔っ払ったナムが別の場所に行こうと言うので、支払いを済ませて船を出た。
酔っ払ったナムに着いていくと、ナムの家の庭に案内された。とりあえず椅子らしき物があったので、そこに腰掛ける。

 

ナムはまだ飲みたいのか俺に酒を要求してくる。

 

「ダイゴー、ウイスキー」

 

「何がだよ」

 

「ダイゴー、ウイスキー」

 

「ナム、さっきビール飲んだだろ。それに酒飲みたかったら自分の金で買うもんだぞ」

 

そう言うと、ナムはそこで待っててと何処かに行ってしまった。

 

……酔っ払った外国人を相手にするのは面倒臭いな、今のうちに逃げるか。

 

そう思ったが、すぐにナムは戻って来た。

 

右手にハイボールの瓶を握りしめている。

 

 

うおおおおおおおおいッ!ナム!
俺は買って来いなんて一言も言ってないぞ!
ΣΣ(゚д゚lll)

 

 

「ダイゴ、マネー」

 

マネーじゃねぇし!ってかもう瓶を開けて飲み始めてるし!

 

 

「ダイゴ、ついてきて」

 

いやいや、何処に行くんだよ?

 

 

案内された場所はナムの家のすぐ近くにある小さな商店だった。

 

なるほど、ここでナムはハイボールを買ってきたのか。

 

店番をしてるのは中学生ぐらいの年頃の女の子だ。ナムとの会話の雰囲気から察するに、どうやらナムと親戚か知り合いらしい。

 

「この日本人がハイボール代払うよ」

 

ナムが女の子に言う。

 

おい、この野郎。
勝手に買ってきて何ぬかしてやがるんだお前。
(#^ω^)ビキビキ

 

しかし、女の子がナムに向かってこう言った。(と思う)

 

「はぁ、何言ってんのよ?アンタが飲んでいるんでしょ!外国の人に金たかるんじゃないわよ!みっともない!アンタがちゃんと支払いなさい!」

 

おぉー、まさに正論。素晴らしいぞお嬢さん。
( ・д・´)

 

そう言われて、ナムは渋々ボケットからお金を出した。

 

「今これだけしか持ち合わせてないんだけど」

 

少し足りないらしい。

 

「はぁ?お金を持ってないのに酒なんか買うんじゃないわよ!」

 

年下の女の子に説教くらうナム。

 

「あのー、足りない分なら出しますけど」
(・・;)

 

俺がそう言いながら、財布からお金を取り出し女の子に渡そうとするが、

 

「No、あなたが買ったんじゃないから受け取れません」

 

そう言って、お金を受け取らなかった。

 

……なんちゅー素晴らしい女の子だ!

 

ナムも少しはこの子を見習ってほしい。

結局、足りない分はナムが後で返すという形になった。

 

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