スレノイに滞在して3日が過ぎた。 3日間町にいて分かったのが、宿の隣で行われていたカラオケ宴会はカンボジアの結婚式だったということだ。 カンボジアの結婚式は3日も続けるものなのか。
3日かけて、一通り町をブラブラしたことだし、移動することにした。
日本には決して存在しない、たまに鳥糞が落下してくるという特典が付いてくる宿ともおさらばだ。
さて、移動先はシェムリアップである。アンコール遺跡群がある観光地シェムリアップ。カンボジアで一番有名な街と言っても過言ではない。
昼食後に、街に向かう乗り合い車が停車しそうな大通りに向かい、荷物を足元に降ろしてポツンと立っていた。
うーん、しまったな。午後からは車がなかなか来ないぞ。
更に待つこと30分。
……もう1泊して明日の早朝に出ようかな。 そう考えていた時である。
「モトバイ?」 バイクタクシードライバーが声を掛けてきた。
「いや、乗らないよ」 首を横に振って、そうアピールする。
シェムリアップまでは60km以上も離れているのでバイクタクシーだと高くついてしまう。
「シェムリアップ?」 バイクタクシードライバーが尋ねてくる。
「うん、シェムリアップに行くんです」
「モトバイで行こう」
いやー、乗らないって言ってるじゃんおじさん。
悪い人ではない感じだが、英語はさっぱり通じない地方によくいるドライバーだったので、「モトバイだと高くなるでしょー」と言っても、「モトバイで行こう」の一点張りである。
「んー、じゃあシェムリアップまでいくらですか?」
「?」
「シェムリアップ、トライポンマーン?(いくらですか?)」
「プラムダラー(5$)」
プラムダラー、5$か……。
…………5$!?
信じられない安さである。 ジャパネットタカタの販売価格並みにお得感満載だ。
60km以上離れた所までバイクタクシーで5$。
「シェムリアップ、プラムダラー?」
「プラムダラー」
よし、乗りましょう。
「OK、レッツゴー!」
というわけで、バイクタクシーでシェムリアップまで行くことにした。
バイクタクシーは快調に飛ばしている。 むしろ快調過ぎる。 カンボジアの熱風が身体を突き抜ける。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、風を凄い感じる。
バンテアイ・スレイ遺跡周辺まで来ると、トゥクトゥクに乗った旅行者達をちらほら見かけるようになった。 おぉ、カンボジアのトゥクトゥクだ。懐かしい……。
しばらくすると、シェムリアップの街が見えてきた。 シェムリアップめっちゃ都会。 今まで田舎町を訪れてきた俺にとって、シェムリアップの街並みはコスモポリスのように見えた。
バイクタクシーのおじさんは、その辺で駄弁っているトゥクトゥクのドライバーに
仕事熱心なおじさんだな。
「何処から来たんだ?」 シェムリアップのトゥクトゥクドライバーが尋ねる。
「スレノイから」
「スレノイ!?そんな所からバイクタクシーで来たのか!?」
おじさん達はそんな会話をしていた。
国道沿いにあるシェムリアップ最大のマーケットの近くまでバイクは走る。
「おじさん、ここでいいよ。ありがと」
そこでバイクを停めてもらって、俺は街の中心に向かって歩き出した。
いやー、いいドライバーだったな、あのおじさん。観光地ずれしてない田舎町ならではの雰囲気を醸し出しているドライバーはやっぱり最高だわ。
「ヘイ!トゥクトゥク!」
それにしてもやっぱり都会だなぁ、シェムリアップ。
「ヘイ!モトバイ!コニチワー!」
観光地だけあって、旅行者も沢山いるなー。
「ヘイ!マイフレンド!ゴートゥーオールドマーケット!?」
日本人もたくさん見かけるなー。もう日本語1ヶ月以上話してないから、日本語が恋しいわ。誰かと話せればいいなー。
「ヘイ!ブラザー!カモン!アイノウグッドゲストハウス!ベストプライス!」
宿は何処に泊まろうかなー。
「ヘイ!ジャパン!アンコールワットイキマスカ?」
………………………………………。
うるせェェェェェェェェェェェェッ!
田舎町では決して出会うことがなかった客引きがわんさかいる。
まぁ大きなバックパックを背負って、今まさにシェムリアップに来ました感を醸し出している旅行者はトゥクトゥクドライバーにとって絶好の鴨であろう。
でも何か懐かしい、この客引きの感じ。 観光地にやって来たことを実感するなー。 シェムリアップ、相変わらず面白い街である。
シェムリアップには大量のゲストハウスがあるため、宿探しには全く困らない。 イエローゲストハウスという宿に泊まることにした。
昨日まで泊まっていた宿が降糞確率80%の宿だったこともあり、むちゃくちゃ綺麗に感じる。
いや実際、凄く快適な宿である。 沈没者も多いようだ。
「こんちはー。今日来たのー?」 階段の踊り場で、とある日本人に話しかけられた。
細身の男性で、伸びた髪の毛は後ろで束ねてある。
「えぇ、ついさっきシェムリアップに来ました」
「タイから来たのー?」
「あぁいえ、ラオスから。スレノイって町から来ました」
「スレノイ?スレノイって何処?」
「シェムリアップの北にある町です」
「へぇー、変わったところから来たんだね。何するのそんなところで」
「うーんまぁ……、大抵ブラブラしてるだけですね」
話をすると、この男性はシェムリアップに7ヶ月も滞在しているそうだ。
名前はじぃくんと言った。
日本人相手に商売をして生活しているらしい。 その商売というのは、ガイドである。 シェムリアップのローカルな場所に自転車で案内したり、トゥクトゥクで街から離れた穴場的スポットを探検したりできる『じぃくんのシェムリアップ特別ローカルツアー』だ。
「普通の日本人よりはシェムリアップに詳しいからさー、分かんないことがあったらなんでも聞いてよ」 じぃくんさんはそう言って階段を上っていった。
……なかなか一癖も二癖もありそうな人だなー。(・ω・)
『観光地に行くと不思議な日本人をよく見かける』 外国観光地あるあるである。
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