そういや、かれこれ3週間以上日本語を話していない。 このまま日本語を喋らない生活を続けたら、ミスターポポみたいな喋り方になってしまわないか心配である。
というより英語もほとんど聞かないな。
現地の人は、こちらが現地語を喋れないに関わらず、めちゃフランクに話し掛けてくる。何を言っているかはさっぱりであるが。 買い物をする時も指差し注文でOKである。 数字くらい英語で言えれば充分なのではなかろうか。
「おーい、そこの兄ちゃん!こっちに来ないか?」 という英語が聞こえた。
声のする方を向くと、現地の人と白人の男性が一緒に酒を飲んでいた。
「君は日本人か?」 白人の男性が尋ねてきた。
「はい、日本人です」
彼は伸ばしたモジャモジャの顎髭がよく似合っているアメリカ人のおじさんだった。 まぁ飲め飲めとペットボトルに入った白濁の酒を勧めてくる。
「これはヤシの実から作ったカンボジアの酒さ。アルコールもそんなに強くないし飲みやすいぞ」
おじさんは周りのカンボジアの人達ともクメール語で話をしていた。
「クメール語話せるんですか?」
「あぁ、日常会話ぐらいだかね。君はどのくらいこの町にいるんだ?」
「今日で3日目ですね」
「カンボジアにはどのくらい居る予定だ?」
「1ヶ月です」
「そうか、いい国だよなカンボジアは。俺はかれこれ1年3ヶ月カンボジアをバイクで旅しているんだ」
「1年3ヶ月!?」
これには驚きだった。
「あぁ、俺はカンボジアが大好きなんだ。愛してるとも言ってもいい。小さい国だが旅をしていて凄く楽しい。人も優しいしな。こうやって一緒に酒を飲めばもう友達だ」
1年以上カンボジアを旅しているおじさんの言葉には、この国に対する優しさと想いが感じられた。
カッコイイぜオヤジィィィィィィィィィッ!
しばらくおじさん達と話をして、別れ際に握手をした。
「そういやまだ名前聞いてなかったな、君の名前は?」
「大悟です」
「ダイゴ、俺の名前はブデァバーだ。いい旅を続けろよ」
そう言って、ブデァバーおじさんはバイクを走らせていった。
いやー、カッコイイな。ブデァバーおじさん。 思いっきり飲酒運転だけど。
あ、暑い……。死ぬ……。溶ける……。
この暑さはヤバい。
同じ宿に泊まっているカンボジア人が部屋じゃなく、一番風通しのいい廊下で寝るぐらいだから相当暑いのだろう。 日本でもフローリングの床に寝そべると涼しいもんな。
ちなみに、俺は朝起きた瞬間からバテバテである。
ヤベーよ。俺汁が出まくりだよ。
あー、髪の毛鬱陶しいな。
髪を切れば少しは涼しくなるだろう。
いつも通っている食堂の娘に聞いてみた。
「髪切りたいんだけど何処で切ればいいかな?」
「あそこで切ればいいよ。案内してあげる」
その子に案内されたのはカンボジアではお馴染みの市場にある床屋だった。
「こんにちはー、この日本人髪切ってほしいって」
「いらっしゃい、じゃそこに座って」
自分が椅子に座ると、床屋の男性はさっそく水吹きで髪を濡らして髪の毛をジャキジャキ切りはじめた。
しかし、物凄いカットスピードだ。
「髭も剃るかい?」
「ん、じゃ頼みます」
そう言うと、男性はシャキンッと剃刀を出して、ジョリジョリ髭を剃りはじめた。
おいっ、クリームも何も付けずに剃るのかよ!
自分が欧米人だったら間違いなく「Oh〜no〜!!」と声に出しているだろう。 いや、でも何処かで見たことあるぞこの髪型。
やったー!これでいつでもTOYOTAのCMに出演できるぞ!
……ってんなわけあるかっ!!
床屋の男性が俺に尋ねる。 「どうだ?これでOKか?」
「……ノープロブレムだ」
いくら嘆いても切った髪は戻ってくることはないので、現状を受け入れるしかない。
なるほど1$ならこの髪型にも納得…出来るわけねぇだろ!(号泣)
泣く泣く代金を支払い、床屋を出た。
「こんなのになったんだけど……どう?」
「うん………、ナイス」
同情するような顔付きで親指を立ててグッドサインをしてくれた。
カンボジア政府は優秀な美容師の育成を検討すべきである。
よく見かける孵化寸前のアヒルの卵。ちょっとグロテスクだけど凄く美味しい。
町を移動した。 スレノイという町である。今までカンボジアで訪れた町で、スラアェムが断トツに小さい町だったが、ここは更にその上をいく町だ。 スレノイ到着後、宿を探すが見つからない。
声を掛けてきたバイクタクシーのドライバーに尋ねてみる。 「すみません、この町ゲストハウスありますか?」
「ヌカアセユフソゥユァコメコメ」
しまった、英語が通じない。 バックから地球の歩き方を取り出し、旅のクメール語ページの「客室はありますか?」部分を指差す。
これで通じるか……。
「ニャムフグヌカズィケコンニャク」
バイクに乗れと言っている様な気がする。
そう思い、バイクに乗った。 そして30秒もしないうちに肌色の建物の前に着いた。 バイタクドライバーがこれが宿だと指差している。
この建物、パッと見、ちょっと大きな民家である。Hotel、もしくはGuestHouseと表記されているわけでもないので外国人には分かるはずもない。 部屋を見せてもらったが、いい宿とはとても言い難い。 埃まみれで壁には蜘蛛の巣も張っている。
まぁ、ここまでは全然許容範囲だ。普通によくあるレベルだ。 問題はここから先である。
何故かカーテンやシーツに鳥糞が付いている。
理由は明白だ。 この宿、天井がむき出しなのだ。
こんなふうに木材組んでその上に瓦乗せて屋根造ってますと、御丁寧に説明されてるみたく、むき出しである。 そして、その組んである木材には可愛い小鳥達が巣を作っているので、必然と可愛い汚物が降ってくるわけだ。
まさにVIP待遇ならぬPOOP待遇である。
他に宿は無いので仕方ない。
泊まることにした(泣)
そして、荷物を置いて部屋で寝転がっていた時のことである。
本来なら鳥の囀りを聞くと、心が安らぐものであるが、こんな頭上で囀かれたらマジでうるさい。 しかもあいつら、ぽろぽろゴミを落としてきやがる。
ん?若鳥が羽をバサバサ羽ばたかせて、飛ぶ練習をしているぞ。
若鳥達は親鳥が見守る中、懸命に羽ばたいてほんの数秒間だけであるが宙を舞っている。
もうそろそろ巣立ちの季節か……。 立派に巣立っていって、部屋を糞まみれにすることも卒業してほしいわ。
バサバサバサバサバサバサッ、ポトッ。
……一羽部屋に落ちてきた。
しばらくして、上に飛んでいった。 もう落ちてくんなよ。
そして、夜になった。 …と思ったら、宿のすぐ隣でカラオケが始まった。 超大音量である。
今日は何かめでたい日なのだろうか。 カラオケは深夜まで続いた。 寝不足である。
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超インドア派。妄想族である。立ち相撲が結構強い。
好きなTV番組は「SASUKE」。