トゥローシャブルの村からドゥンチェの町に向かった。 この町で2泊した後、バスでカトマンズへ戻った。
帰りも同じく、完璧なバス酔いである。
うぷぷ、もうネパールのローカルバス乗るのは嫌だ(泣)
ドゥンチェで遭遇した笑っているようなヤギ
カトマンズ到着後、宿に戻るとフロントにディペンがいた。 何故か坊主頭である。
「ディペン……、なんで坊主になってんの?」
「コレ……、ファイティング…」
「喧嘩したん?でもなんでそれで坊主?」
「コレ見テ」
頭を指差すディペン。
そこには痛々しい傷跡があった。6、7針は縫ってるだろう。
「ひぇー、どうしたのそれ?」
聞くと、自分たちがトレッキングに向かった次の日に、宿のフロントでネパール人男性と口論になったらしく、逆上した男性におもいっきりビール瓶で殴られたそうだ。
ディペンが言う。
そりゃ出るだろう。
壁をよく見ると、飛び散ったディペンの血痕が付いていた。
なんか呪われたホテルみたいになってんな……。
怖いネパール人もいるもんだ。
夜、大輔さんとカトマンズでは有名な日本料理店、桃太郎に夕食を食べに行ってみた。
あぁ、なんと懐かしい香りだろうか。
メニューを見て、カツ丼を注文。
「超うめー!カツ丼超うめー!」
久しぶりに食べる本格的な日本食に、体がびっくりして全身の毛穴が開いた。
このカツ丼の美味さは、異常なまでに沸点の低い初期の海原雄山をも唸らせるといっても過言ではない。 あまりの美味しさに、アニメの富井副部長のような声を出してしまいそうだ。
「コラーッ!山岡ー!」(裏声)
「いや俺の名字は山下だけど。どうしたんだいきなり?」 大輔さんが言う。
「はっ!すみませんっ。あまりの美味しさについ我を忘れてしまいました」
「……まぁどうでもいいけど。大悟君、俺飯食った後にキャバクラっぽい場所行ってくるわ」
「あ、ホントに行くんですね。気をつけて」
宿に戻るとネパールでは恒例の停電タイムだった。
「じゃあ行ってくる」
懐中電灯を片手に大輔さんは部屋を出て行った。
「行ってらっしゃーい」
真っ暗で特にすることがないので、布団を被ってベッドに横になる。
30分後。
「ただいまー」
大輔さんが戻ってきた。
「あれ?戻ってくるの早くないですか?」
「いや、そういう店は3軒くらいあったんだけど。なんか1人で入る勇気がなくてね……」
「はぁ……」
「大悟君、付いてきてくれない?」
「えー、俺もですか?」
「頼むよ。一生のお願い」
「一生のお願いをこんなところで使わんでくださいよ」
そんなわけで、渋々大輔さんに同行することになった。
最初に案内されたのは階段で2階に上がるようになっている、入口部分がピンク色のライトで照らされている店だった。
「先に行ってよ、大悟君」
「なんで俺が先!?」
「まぁ覗くだけ覗くだけ……」
仕方なく先頭に立ち、店内を覗く。
「大輔さん、水着姿の姉ちゃんが踊っています!」(小声)
「へぇ、どれどれ」
大輔さんが覗こうとすると、店内のボーイ?みたいな男性が俺達の存在に気付き、こちらに向かってきた。
「ヤベェッ!逃げろ!!」
一目散に走り出す大輔さん。
逃げるんかいッ!
「ちょっ、待ってー!大輔さんーッ!!」
俺も慌てて駆け出す。 階段を急いで下り店の外に出る。
「酷いですよー。急に逃げるなんて」
「ごめんごめん。次は逃げない」
結構狭い店だった。 自分達がソファーに腰掛けると、目の前で若い女性が音楽に合わせて体をくねらせながら妖艶なダンスを始めた。
「うほぉう。いいねぇ」
ニヤつく大輔さん。 春先に出没する変態の顔になってるな。
音楽が変わると、踊っていた女性がステージの横にある控え室に戻り、他の女性が出てきて踊り始める。
入店して20分ほどすると、とある事に気づいた。 この店、女の子が3人しかいない。 なんという人手不足。いや、少数精鋭と言ったほうがいいのか。
入店して1時間。
「飽きたな……」
入店直後はウハウハだった大輔さんも、同じ女性を眺めてばかりじゃ退屈なようだ。 踊っていた女性のうち、2人が自分たちの横に着席したが、全く喋ろうとしない。 女性陣が自ら発した言葉は「ドリンク頼んでいい?」だけである。 名前を尋ねたりしてなんとか会話を続けようと思うが、俺の覚えたネパール単語だけではもう無理だ。
現時点会得ネパール単語 「こんにちは」「ありがとう」「はい」「いいえ」「少し」「きれい・良い」
これだけで会話を続けるのは無理がある。
「マジ」「ヤベェ」「パネェ」だけで会話を成立させようとする日本のギャルぐらい無理がある。
しかしずっと無言なのはいかんぞ。女性陣。 日本のキャバクラだったら即刻クビになるぞ。 例えば………。
「がっはっはっはっはっは!」
「いらっしゃいませ、社長。新しい子が入ったんですがどうでしょうか?」
「がっはっはっは、それはいいね。じゃあその子指名で」
「かしこまりました。キャバ子ちゃーん!ご指名頂いたよ!」
「キャバ子です。よろしくお願いします」
「がっはっはっは、よろしく!」
「お飲物は?」
「がっはっはっは、水割りで!」
「会社の社長さんって、凄いですね」
「がっはっはっは、ん〜まぁねっ!がっはっはっは!」
「ははは……………」
「がっはっはっは…………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「あー、ゴホンッ。君はこの仕事初めてか?」
「はい……………」
「もっと喋らないといかんぞ。客を楽しませないといかんぞ」
「はい……………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「喋らんか〜いッ!!」
そして店を出た。
歩きながら大輔さんがポツリと呟く。 「いやー、つまらなかったね」
大輔さんにここまで言わせるとは……。 ネパールのキャバクラは課題山積みなようだ。
|
↓ブログランキング参加中。べっ…別にクリックしてくれても全然嬉しくないんだからね……!(照)
超インドア派。妄想族である。立ち相撲が結構強い。
好きなTV番組は「SASUKE」。