2回目のトレッキング(旅行記25話)

 

もう1度トレッキングするか。
(`・ω・´)キリッ

 


大量のネパールルピーを処理するため、もう1度トレッキングに行くことに決めた。

さて、次は何処のコースを登ることにしようか。

宿に置いてあるネパールのガイドブックを読みながら考える。


……やはりネパールに来たんだからエベレストを見といた方がいいのかなー。
(・ε・)
となるとメグミさんが行ったトレッキングコースと同じになるな。
俺もミーハーだな。

 

エベレストトレッキングはカトマンズから標高2840mに位置するルクラまで飛行機で向かい、そこからトレッキングを始めるのが一般的だ。

だが自分は山中にある村も訪れてみたいと考えたので、カトマンズからジリという村までバスで移動し、そこから歩いてルクラまで向かいエベレストトレッキングコースのピークまで目指すことにした。

約1ヶ月のトレッキングの予定である。

 

25_1
カトマンズで出会った少女

 

 

 

トレッキング出発の日。

ジリ行きのバスの出発時間に合わせて早起きをする。
同じく、メグミさんもポカラ行きのバスに乗るため早起きである。

「トレッキング寒かったら使って」と、ホッカイロを3つ頂いた。

 

「じゃ、メグミさん。くれぐれも死なないように気をつけて旅してください」

 

「ありがとー。大悟君も気をつけてね。あとドードゥポカリの写真facebookにアップしといてね!」

 

そう言ってメグミさんは一足早く、宿を出て行った。

 

ちなみに、ドードゥポカリとはエベレストトレッキング上のゴーキョ(標高4750m)という場所にある大きな氷河湖のことである。
普段は真っ青な湖らしいが、メグミさんが行った時はまだ氷結して白かったらしい。

 

さて、俺も出発するか。

 

バス乗り場でガイドのサンタさんと一緒にバスに乗る。

サンタさんは自分と同い年のネパール人だ。
ラムさんほどではないが日本語が結構話せる人だ。無論、英語は堪能である。

 

カトマンズからジリまでバスでおよそ9時間。

 

ジリまでの車道はとてつもない悪路で、バスが上下に揺れ、体が浮き上がり頭が天井に強打することも何度かあった。

 

嘔吐する人間も続出である。
(-ω-“)

 

 

 

 

ジリはこじんまりとした村で、なかなか居心地が良さそうな村だった。

まだトレッキングを始めずに、この村に連泊したいという気持ちに駆られたが、トレッキング期間はカトマンズ出発日から1ヶ月とガイドの専属契約を交わしていたので、いきなり連泊はまずい。

これから先、気に入った村に連泊する機会が絶対あるだろうと思い、ジリには1泊のみしてトレッキングを始めることになった。

 

jiri

 

 

ジリのバス車道が途切れるところから山道が始まる。

基本的には日本語で、たまに英語でサンタさんと会話しながら歩いていく。

 

「大悟さんは恋人いるんですか?」

 

サンタさんは唐突にこんな質問をしてきた。

いきなりハードな質問をしてきたなサンタさん。

 

「えぇいますよ、一応。ゲームの世界で姉ヶ崎 寧々先輩という女性とお付き合いしています
(`・ω・´)キリッ

 

「は?」

 

何言ってんだこいつ?みたいな顔をするサンタさん。

 


日本には恋愛ゲームというのがあって、それはゲームのキャラクターと疑似恋愛をするものだと説明する。

 

「ふーん、でも実際に触ったり抱いたりできないんだよね。つまらないねそれ」

 

「まぁそりゃゲームだからね」
(`‐ω‐´)

 

でもそれはそれで、ゲームならではの楽しみ方があるんだと語っておいた。

 

もしまたネパールに来ることがあれば、その時はサンタさんに3DSと専用ソフト「NEWラブプラス+」をプレゼントしてあげよう。

ネパール全土にラブプラスが浸透するのも夢ではない。

 

「ってことは大悟さんは恋人いないってことだね」

 

そう言いながらサンタさんは顔をにやつかせる。

 

「そうですね。サンタさんはいるんですか、彼女?」

 

「いるよ」

 

あ、いるんだ。

 

「でも会ったことはない」

サンタさんはそう付け加えた。

 

……ん?
(; ・`д・´)

 

「会ったことはないのに恋人なんですか?」

 

「電話かメールをすることはあるけど会ったことはないよ」

 

「ネパールではよくあることだと思うよ」

とサンタさんは言う。

 

はぁ……。1度も会ったことがない、顔も知らない相手が恋人という関係になれるのかネパールは。
Σ(・д・)

 

それって日本のメル友みたいな関係だと思うが。

 

その条件だったら俺だって恋人はいるぞって言い張りたかったが、思い返してみると、俺が電話やメールをする女性といえばお母さんだけである(号泣)

 

 

25_2
橋を渡ってきたヤギの集団。飼い主は行方不明である。

 

 

ジリからルクラへ向かうこのコースは登ったり下ったりの道の繰り返しだ。
道のアップダウンがキツいため、まだ左膝を完治していない身としては辛いコースだ。

しかし、山の人々の生活に触れられるし、普段のトレッキングとは違った雰囲気が味わえる。
個人的にはこういう道は大好きである。


歩いていると、たまにすれ違う村人にサンタさんがなにやらネパール語で尋ねたりしていた。

 

「何を話していたんですか?」

 

「道を尋ねたんです」

 

サンタさんが答える。

 

「ん?道を尋ねたって、サンタさんはこのコース歩いたことないんですか?」

 

「ないよ」

 

「ないんかいっ!」
Σ(・д・)

 

「初めて来たよ。このコース」

 


ネパールの他のトレッキングコースを違って、このコースは非常にトレッカーが少ないらしく、ガイドの人もジリ〜ルクラ間を歩いた人は少ないらしい。

それだったらトレッカーが多く集まるルクラの先にあるナムチェという村でガイドを雇ってもよかったなと思う気がしてきたが、ネパール語で現地の方に道を尋ねたりできるので、まぁいいか。

それでも迷うほどの複雑な道ではない、ほとんど1本道であるが。

 

 

25_3
シヴァラヤ村の子供

 

 

正午には、シヴァラヤの村に到着。

ここで食事休憩をして次の村を目指してもよかったが、そんなに急ぐ必要はないので、この村に1泊することにした。

少し村を散策し、夕方、宿に戻るとサンタさんが尋ねてきた。

 

「大悟さんはお酒飲めますか?」

 

「はい、飲めますけど」
(・ε・)

 

「じゃあ一緒に飲みに行こう」とサンタさんに案内された場所は、ただの民家だった。

 

「村のバーだよ」

 

サンタさんがそう言い、民家の中に入る。
女性が火をおこし、石釜を使って飲み物を温めたり料理を作っている。

簡素な造りの家だが、凄く落ち着く。

 

「飲み物は……、ロクシーしか無いけど。冷たい方か熱い方どちらがいい?」

 

そう言われたので、熱いロクシーを注文した。

陶器にロクシーが注がれ、石釜で温められる。

おつまみにと煎った豆を小皿に盛って出された。
素朴な味付けだが凄く美味しい。

熱いロクシーでサンタさんと乾杯する。

 

「私はお酒が好きです。お客さんがお酒飲めるなら一緒に飲みます。色々話せるし」

 

そう言うサンタさんは一緒に飲み始めてしばらくすると、勤めている会社の愚痴をこぼし始めた。


「私はもっと日本語の勉強したいんだ!なのに、ガイドの仕事が終わったら、また間髪入れずにまたガイドの仕事!トレッキングが終わってクタクタになって夕方にカトマンズに戻ったら、また次の日の朝に出発ってのもしょっちゅうだし!畜生っ、ガイドをこき使いやがってマネージャー共がっ!日本語学校に通ってもっと日本語上手くならないとマネージャーになれないし!でもそんな時間ねぇし!あぁ、ガイドやめてー。マネージャーに昇格してー


といった内容だ。


うーむ、やはり何処の国でどんな仕事をしていても愚痴の1つはこぼしたくなるものなのか。(‐ω‐)

まぁ、クタクタにはならないように、のんびりしたトレッキングにするか。
俺も疲れるのは嫌だし。


 

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