ジリ〜ルクラ間ルートを通り越して、パクディンに到着。 この村では水が非常に安く売られていた。 人力でしか生活物資を運べない村々までは1リットル120〜150ルピーだったりしたのだが、この村では1番安いところでは1リットル50ルピーである。 空港があるルクラが近いため、物資を運ぶのは前の村よりは容易なのであろう。 もうここからは標高が高いところに登っていくだけで、物価はどんどん上昇していく。 ここで買い溜めしておくことにしよう。
「はいよ、何本だい?」
「んー、じゃあ13本」
「13本!?そんなに買ってくれるのかい、嬉しいねぇ」
持参したビニール袋に水を詰めて宿に持ち帰る。
お……重い………!
それら全てをバックパックに詰め込み、どれくらいの重さか背負って確かめてみる。
うおっ……こりゃ重いわ……。
ずっしりとした重みが肩にのしかかってくる。 これ背負って山道を登っていくのはしんどいかもな……。
翌日、ナムチェに向かって出発。
ぐはっ……!なんという重みだ……!
少し歩いただけで疲労感が昨日までと全く違う。
「何本水入ってんの?」
「13本」
「そりゃ重いよ」
まるでポーターになった気分だ。 最強の兵隊ゴルカ兵然り、山岳最強の民族シェルパ然り。 ネパール人って絶対戦闘民族の末裔だ。怒らせないようにしよう。
ナムチェに到着した翌日は、何日も山道を歩いているのに太腿が筋肉痛だった。
ナムチェはエベレスト周辺のトレッキングコースがあちこちに分岐していく大きな村である。
さて、トレッキングシューズを買いに行かねば。
今履いている靴では、これ以上標高が高いところで雪でも降られたら、ラムジュラ・バンジャン峠を越えた時のように滑りまくってしまう。
そんな死に方は嫌だ。
トレッキング用品店が建ち並ぶ通りにある、とある店に入る。
「いらっしゃい。うちの店はいいものを集めているよ」
「これは本当にお勧めだよ。軽くて履きやすい。そのうえ丈夫で防水加工だ」
「試し履きしてもいいですか?」
「どうぞ履いてみてくれたまえ」
試しに履いてみる。
うん、いい靴なのかどうかは分からんが自分の足にはジャストフィットだ。
「この靴いくらですか?」
「150$だよ」
高ェッ!!
「うーん、その値段ではちょっと買えないですね」
「そうかい。残念だ。ウチの店は値段は高いが、その分ハイクオリティーだよ。他の店は品質が悪い」
「そうなんですか。でもあまりお金かけれないんで別の店を当たります」
それから何店舗か回り、とある店の一角で乱雑に並べられているトレッキングシューズを手に取り、いくらか訊いてみた。
「これいくらですか?」
「4500ルピーだ」
「4500ルピーですかー。他の店当たります」
そう言って店を出ようとすると、店主に引き止められた。
「待て待て、いくらならいいんだ?」
「ディスカウントできるんですか?じゃあ3000ルピーなら買います」
「3000ルピーは無理だ。3800ルピーでどうだ?」
「うーん、他の店も当たってから決めます」
「3500ルピー。ラストプライスだ」
「うーん、他の店も当たってから決めます」
「分かった分かった、3000ルピーでいいさ。特別価格だぞ。ネパール人に売るのと同じ価格だ」
おぉ、やったー。思ったより安く買えた。 やっぱ外国人だとふっかけられるのは何処でも一緒だな(泣)
その後、マムートの刺繍がしてあるフリースも1300ルピーで購入。
ナムチェに3泊後(週末に行われているバザーを見たかったので3泊した)、ゴーキョに向けて出発。 標高が4000mを越えるとロッジの数も少なくなってくる。森林限界を超えているため、自分の背より高い植物も見なくなってきた。
標高4150mの峠に仏塔が見え、その近くにロッジがある。そこがモン・ラという場所だ。 そこで昼食を摂る。
その後、小川を渡り夕方には川沿いにあるドーレに到着した。 今日はここで1泊である。
いきなりだが、俺は超が付くほどの綺麗好きである。
ゴキブリを素手で掴んで外にポイってした後は、ちゃんと手を洗うし、この旅行中は大便をした後は肛門を素手で拭き、ちゃんと手を洗う。
そんな超綺麗好きな俺だが、このトレッキング中には1度もシャワーを浴びていない。
何故なら、シャワーは有料だからである。 お湯を沸かす為には大量の薪が必要になるため、山ではお湯はかなりの貴重品なのだ。
「シャワー代10倍出すから、バスタブにお湯をはってちょうだい!」 と山の民を怒らせるようなことを言いそうだが、常識人かつ倹約家の俺はそんなことは言えない。
山の空気はかなり乾燥しているので、大抵のトレッカーは1週間ぐらい髪とか洗わなくても平気だろって人も多い。
対して、俺は綺麗好きなわけで、体が汚れたり頭皮に油が詰まってハゲることは避けたいので、ほぼ毎日洗っている。
ロッジの近くにある水道でだ。
近くの川の上流から長いホースを使って持ってきている水なので冷たいが、毎日浴びればもう慣れっこだ。 というか、トレッキング中は穀物と野菜しか食べてないので、サラサラな汗しか出てないし、別に体洗わなくても清潔じゃね?と最近思い始めたが。
「フンフン♪洗髪タイム〜♪」
…………あれ?水道が見当たらないぞ。
サンタさんが言う。
というわけで、ロッジの近くを流れている川に向かう。
「めちゃ冷たいし寒いからやめたほうがいいと思うよ」 と言っていたが、そんなもん知らん。
俺は身体が洗える環境だったら洗わないと気が済まない質なんだ。
川にはヒマラヤから渡ってきた、透き通った綺麗な水が流れている。
川の水に手をつけてみる。
冷たッ!!!
雪溶け水だから当たり前か。 うーむ、こんな水で頭洗ったら風邪引きそうだ………。
ジャポンッ。
土下座する要領で川に頭を突っ込んだ。
冷たいッ!めちゃ冷たいッ!!頭がキンキンするッ!!
よっしゃ、もういっちょ!
ジャポンッ。
泡を洗い流すため、もう一度川に頭を突っ込む。
冷たいッ!めちゃ冷たいッ!!頭がキンキンするッ!!
標高が低いところに戻るまで、しばらく頭も身体も洗わなくてもいいや。
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超インドア派。妄想族である。立ち相撲が結構強い。
好きなTV番組は「SASUKE」。