絶景麻痺末期人間(旅行記30話)

 

翌朝、ゴーキョ・ピークに登り始めた。

ロッジを出て、約2時間後、ゴーキョ・ピークに到達。標高は5360m。

 

ここからだと、荒涼とした景色が眼に映る。

氷河湖ドゥードゥ・ポカリはゴーキョから見るよりも青い。
まだ半分以上、凍結しているが。

 

本来なら

「なんて素晴らしい情景だ!感動した!」

ってなるのだろうが、重度の絶景麻痺を患っている俺は、いつも見ている景色となんら変わりないと思うだけだった。

 

もはや今の自分にとって、高い場所に行くという行為はただの作業に等しい。

ドラクエのレベル上げみたいなものである。

一応、ちゃんと登った証拠として、サンタさんに写真を撮ってもらう。

 

 

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撮ってもらったけどおもいっきし逆光だった

 

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高い場所から見たドゥードゥ・ポカリはかなり青く見える

 

 

トレッキングも終盤に差し掛かり、チョラ・ラというトレッキング上の難所を越える日を迎えた。
ゴーキョからカラ・パタール方面へ向かう、いわばショートカットだ。

 

トレッカーの間では、チョラ・パスと呼ばれている。

クレバスなど危険な場所もあるので、ここだけはマジで真剣に登らなければならない。
単独でチョラ・ラに向かい、行方不明のトレッカーもいるぐらい怖い場所なのである。
ガク((( ;゚Д゚)))ブル

 

しゃべくりお姉さんのメグミさんもチョラ・パス越えをしたかったらしいが、当時は、積雪により不可能だったそうだ。

 

 

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ゴーキョからドラクナクへ向かう道

 

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ゴーキョからドラクナクへ向かう途中にあった雪溶け水でできた水溜まり。水溜まりすらも青い。

 

 

現在地のドラクナク(標高4700m)を夜が明ける前、午前4時半に出発する。

ここから、チョラ・ラの麓までは、そこまで標高は変わらない。
麓から峠の頂上までに一気に標高が上がるのだ。一気に500m以上登るため、とんでもない急勾配な道のりである。

道というよりも、大小さまざまな岩が斜面に積み重なってできている岩山といった感じで、このトレッキング上で唯一、両手を使いながら登って行く道だ。
本当に「登る」といった表現がしっくりくる。

 

よっしゃ、越えるか。チョラ・パス。
(`・ω・´)キリッ 

 

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いざチョラ・パスを越えん……!

 

峠を登り始めて20分後。

 

ハァハァゼェゼェ……フゥフゥ……、
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。

 


…………疲れた。
(;´д`)

 


しんどいわ、この岩の道。
もう登るのしんどい。休憩したい。ベッドに寝転がりたい。

 

トレッキングを始めてほぼ毎日歩いているので、体力と筋持久力はかなり上がっているはずだが、このルートだけは別格だ。

荷物を背負って、標高5000mを越える岩山を登っていくのは、さすがに体に堪える。酸素が足りない。

 

そもそも俺はアウトドア派じゃなくて超インドア派だし。
趣味はまとめサイト閲覧だし。

というより、今更だが超インドア派がネパールでトレッキングしてる意味が根本的に分からん。

 

麓から峠まで、あと半分の場所に差しかかった時、上方から叫び声が響き渡った。

 

「ローーーーーーーック!!」

 

え、マジ?
Σ(゚д゚)

 

峠側から握りこぶし2個分程の石が、猛スピードで跳ねながら転がり落ちてきた。


うおっ!危ねェッ!!
ΣΣ(||゚Д゚)ヒィィィ!

 

自分の1mほど真横を石が通り過ぎていく。

ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ、と音を響かせながら、あっという間に峠の麓まで転がり落ちていった。

 

怖ェェェ……。
あんなもん体に直撃したら内臓破裂してしまうわ。
ガク((( ;゚Д゚)))ブル


他のトレッカーが誤って、石を蹴づいてしまったようだ。

ここでは、ただの石が、少しの不注意で凶器に変わる。


「大悟さん、大丈夫ですかー!?」

少し離れた場所からサンタさんが声を掛けてくる。

 

「大丈夫。大丈夫。問題ないです」

 

それから数十分後、チョラ・ラに到達。
標高は5420m。

 

 

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辺り一面銀世界。

 

ドラクエ2のロンダルキア大地みたいである。
「アークデーモン」「ブリザード」出現しそう

生憎、俺はロトの子孫ではないため、こんな場所にいれば間違いなく魔物に喰い殺される。

 

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ザラキを連発される絶望感よ……

 

 

 

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頂上付近で休憩をした後、また歩き出す。
トレースができているので、その部分を歩いていく。


高所のトレッキングではストックを持っている人は少なくない。

4000m以上の高所では岩場が多く、バランスを崩すことがあるため、ストックは必需品である。

 

しかし、俺はトレッキングをする予定はなかったので、ストックなど持ち合わせていない。
(トレッキング用品店で購入することもできたが)

 

道端で拾った木の棒をストック代わりに使っている。
ジリから歩き始めた時に、巡り合った木の棒である。

一目惚れだった。3週間近くの付き合いだ。


そんな木の棒を頼りに、峠の雪道を歩いていた時である。

写真を撮ろうとカメラを取り出した際、木の棒を手から離してしまい、そのままトレイルから離れた所にツルツルと滑っていってしまった。

 

あぁ、木の棒!
ΣΣ( ・д・´)

 

どうにかして木の棒を助け出したかったが、ここは何処にクレバスがあるか分からない危険地帯だ。

トレース以外の場所は歩けない。

 

「おーいっ!木の棒!しっかりしろー!戻ってこーいっ!」

 

しかし木の棒は返事をすることもなく、ピクリとも動かない。

 

「くそっ!待ってろ木の棒!今行くぞ!」

 

「どうかしましたか?」

 

「あぁ、サンタさん!マイ木の棒があそこに……!」

 

「はいはい、早く峠を越えましょう」

 

もうお前の冗談には付き合いきれんと言わんばかりの対応である。

 

サンタさん、割と薄情な人だな。


「さようなら、木の棒………」
(´;ω;`)


俺はずっと一緒だった木の棒を見捨てて、チョラ・ラを超えたのであった。

今現在も、俺が愛用していた木の棒はチョラ・ラで寂しく静かに雪に埋もれているであろう。


というか、どんな景色見ても全く感動しなくなったな……。大丈夫か俺……。
( ´д`)

 

 

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チョラ・パスを超えてカラ・パタールへ向かう。

 

 

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来た道を振り返るとチョラ・ラが静かに佇んでいた。ここを越えるのは相当きつかった。綺麗なお姉さんに登ったら後でイイことしてあ・げ・るとか言われない限り絶対に登りたくない。


 

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